もやぴスイッチでお話

ピンキーと唐岸と言います、ペンペン草のペンの方がピンキー、ペンの方が唐岸です。
ピンキーと唐岸の二人は世間体、ぴんから兄弟と呼ばれることがあるのを我慢していました。
それに実際、ピンキーと唐岸でした。
また二人はペンペン草のペンとペンでしたから、兄弟と言われてもそりゃ言われるのでした。


そのように二人は文句をいだきがちな日々でしたが、
さすがに自分らでも何か前向きな積極性を持たなくてはいけないんじゃないかと思うときがあって、


二人で町の体育館にやってくる「ざんぎりプロレス」を見に行くことにしました。


お弁当にはパンキッシュを作ることにしました。
浅いうつわ状のパイ生地にパン生地を流し混んでオーブンで焼きます。
パイ生地がうまく焼けた頃、パン生地の真ん中らへんの中の方がまだ生で、ぽちょんぽちょんしている。


お弁当は、コンビニのおにぎりにしました。


ピンキーと唐岸が町の体育館に着くと、会場ではざんぎりアタMAXの試合が始まっていました。
相手は覆面レスラー・攘夷ジャキー。ジャキーの反則技に華があります。
そう皆が思っていました。しかし唐岸は反則の意味が分からない、
なんで? これって相撲とかとは違うの? と混乱して、
アタMAXを助けなくちゃ助けなくちゃ、
実は持ってきていたパンキッシュを、場外で悪のパフォーマンスをしているジャキーのとこまで駆けていって
思い切りぶつけました。


ジャキーは大袈裟に熱がり苦しがり、客席は大いに沸きました。
ピンキーは唐岸の手を引いて急いで会場を去ります。


帰り道、川沿いでふたりはおにぎりを食べました。
唐岸はごめんと言いましたが、ピンキーは唐岸の、
失敗を活用しようとしてしまうようなところ、僕はよく知ってると思いました。


翌号のプロレス新聞には、「MAX謎のキッシュに救われる」の記事が踊り、


町の皆は、おらほのぴんから兄弟は歌うんでねくプロレスすんだぞ、としばらく騒いでやめました。
(柴)




ハンバーガーが食べたくなったのでナラは外出しました。
フライングポテトが食べたい。
飛んでいるポテトじゃなくて揚げるの現在進行形ポテト。
フライングポテト。ああ。しっくり。
じゃがいもいい。じゃがちゃんとゆう名の名物が九州は長崎に存在することをわたしは知っている。


ナラがいま食べたいのはマクドナルドとかじゃなくてアボガドとかが挟まったぶっ厚いやつ。
野菜の酢漬けも大きくて、濃い味のいろんなソースが垂れ流れているハンバーガー。
お隣にナラ命名憧れのフライングポテトが、お前を許すといった感じでおかれていて、
そういえばナラはポテトにはいつも許してもらった。
お皿の隅に、ケチャップソースとマスタードソースがぽちょんぽちょんとプロレスラーの着衣しているやつみたいに刺激的な色をしてアピールしている。
それを見たときナラは、オーケー。と思う。
そうゆうの目指して歩きだすと決めたんだ。
パンキッシュな雪駄に柄シャツ、この季節ちょっと暑苦しいオーバーオールを装備し、
同居している亀に達者でねと心で言って出た。

最短距離の2.5倍くらいを歩き、着きました。そうそう。こうゆうの。
木造、整いすぎていない店内、外国のビールの銘柄のネオンがあったりして、
アメリカの70年代くらいの音楽が流れて。 日本では70年代くらいにぴんから兄弟が活躍しました。
昼食夕食どっちつかずな時間帯だったので他にお客もそうおらず、
全従業員の視線を浴びながらナラは禁煙席に案内された。見るな。
わーいメニューくれ、とゆう心中をお察しされないように冷静を装い着席。
メニューの説明を軽く受けて店員が去ったあと、ナラはあまり考えずに想像していたのに近いハンバーガーとベルギーのビールに決め、
こんな昼間っから飲酒をするわたしですが大丈夫、村一番の常識人です、
といった演出で店員を呼び、注文をしました。
ベルギーのビールは瓶じゃなくて樽からグラスに注いでいただくタイプで、これだとこの時間少し安いのよ。安かったのよ。
ビールのあとハンバーガーが運ばれてきた。そのころになると少しずつお客さんが入りだしたが、
ナラの近隣のテーブルには寄ってこなかった。
こうやって食べるがよい、との説明が入社してまだ1年は経ってなさそうな店員からあって、はーいとナラは思いました。
ケチャップソースとマスタードソースは添えられていなかった。
かわりに各テーブルに子袋に入ったそれらが常備されていた。
ナラはマスタードだけを子袋から出し、まずは憧れのフライドポテトをフォークで刺しマスタードを付けて食べた。
10秒後、使い捨て抗菌紙ナプキンで拭いた手で食べた。
ハンバーガーは難関でした。トマト、玉ねぎ、しし唐の酢漬け、パテ、アボガドそれぞれが厚く、
その間にチーズやソースがかかっています。
最終的にバンズをはずし、上から順番にフォークを持って食し、ほどよい厚さになったところで
取り外したバンズをかぶせてそのまま口に運ぶことができた。
その間、ビールは2杯目まで許可し、ポテトにも手は伸ばしたが
ポテトに関しましては最後にハンバーガーからはみ出たソースにつけて食べたいとゆう
汚らわしい欲望を抑えることができず、ナラは実行した。


ああ罪悪感。完食。こんな高カロリーなものを食べてしまった。無心で。
ナラはビール2杯も飲んで陽気なくせに、具合が悪い人のようなぐったり感で雑草をむしりながら
ペンペン草をペンペンできないまま、最短距離で帰路でした。
おなかが、いっぱいすぎる。


達者であった亀にただいま、と心の中で言うとナラはそのまま座り込んで亀に規定量のエサをあげました。
(脇)